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容疑者Xの献身

容疑者Xの献身
公開 2008年10月4日
監督 西谷弘
脚本 福田靖
出演者 福山雅治、柴咲コウ


 
【鑑賞前】期待:☆☆

僕はこの小説を読んだことがある。

普段はあまり小説を読まないのだが、
ひさびさに読んだこの小説があまりにも面白すぎて、
休日をまるまる読書にあててしまった。

腹が減ればいつもなら自分で食事を作るのだが、
この小説を読んでいたときは、
小説から目を離すことができなくて、
近所のラーメン屋さんへ行き、
ラーメンをすすっている間も小説を読み続けた。

それくらい面白い作品だった。

映画化するにあたって、
フジテレビが制作をしているということもあり、
あまりにも期待できないんだけど、
特に見るものもないということで借りてみた。

小説では柴咲コウの役に当たる人物は登場しない。
でも今回は出てきそうなので楽しみだ。

福山と柴咲のやりとりがテレビシリーズでは面白かったから。


【鑑賞後】評価:☆☆

なにが失敗した原因なんだろうか?

少し前に東京で同じ大学に通った友人から電話があった。
僕と同じ学年だったが浪人生活が長かったため僕より年上の男だ。
彼は東京での生活をやめて田舎へ帰ったのだが、
30台半ばで結婚していないということで
周りの視線の冷たさを感じるとのことだった。

僕は同じく結婚していないんだけど、
彼を励ましたくて言った。

「福山雅治だってまだ結婚してないんだから気にすることないよ」

当然、こんな言葉で彼が励まされるはずがなく、
「例えがおかしい」と説教を食らった。

そのとおりである。

福山雅治は男前で、お金もあるし、社会的な地位もある。
僕たち庶民と比べること自体、間違っているのだ。


この映画の容疑者Xは原作ではさえない外見の男であった。
性格も暗そうでいつも数学の問題ばかり解いているだけで、
結婚もしていないし、彼女もいない。

しかし、そんな男が女性を好きになり、
なんとか彼女たちを守ろうと、唯一、持っていた天才的頭脳を使って、
犯罪を犯すわけである。

それなのにこの映画の容疑者Xはどう見ても二枚目だ。
役者は猫背にしたり、しどろもどろセリフをしゃべったりして、
原作のXの雰囲気を何とか出そうとしているのだが、
やっぱり二枚目なのである。

配役が第一の大きな失敗だった。

容疑者Xには伊集院光のような外見の人が適役だった。
しかし、伊集院が主役をやったとしても、
観客は来てくれないと制作が判断したように思う。

なんたって恋愛に近い映画なのだから。
美男美女の恋愛のほうが見ているほうは感情移入しやすいのだ。


第二の失敗は、主人公を容疑者Xか湯川教授か絞れなかったことだ。

映画を見ていて誰を描きたかったのかわからなくなった。
主役がぼやける事で映画というのはとても見づらくなるのだ。

湯川教授である福山雅治をお弁当でいうところの
「福神漬け」的な役割で描けば映画として成立したはずだ。

僕自身が福山と柴咲のやり取りを期待して映画を借りたわけだが、
二人のやり取りはそれほど面白いものではなく、
原作の良さを出すためには不要だと思った。

この映画は、何を考えているのかわかない暗い男が、
犯罪を犯した美人子持ち女を助ける話だ。

暗い男は、危ない橋を渡ってまで助けようとするのだが、
美人な奥さんはそれほど親しくもない男がどうしてここまで親切なのか、
もしや体目当てではないのか、などと疑ったりするものの、
結局、男の頭脳に頼らなくてはならない、という状況が、
ドラマとして一番面白いところなのだ。

ここらへんを中心に描かくべきだった。


暗いブ男が主人公ということで、
原作自体が映画化に向かなかったのかもしれない。

映画を見るくらいなら小説を読むことを勧めたい作品だ。
----------------------------------------------
ブログに「拍手」機能があることをすっかりと忘れていました。

コメントもいくつか頂いていたことにいま気づきました(;´▽`A``

ありがとうございます!


拍手[0回]

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精神科医ヘンリー・カーターの憂欝

精神科医ヘンリー・カーターの憂欝
Shrink
公開 劇場未公開
監督 ジョナス・ペイト
原案 ヘンリー・リアドン 
脚本 トーマス・モフェット
出演 ケヴィン・スペイシー、 マーク・ウェバー



【鑑賞前】期待:☆☆☆☆

テレビにも出るような有名な精神科医が、
奥さんが自殺してから、依存症になり、
それを治せないでいる。

だから自分は精神科医として失格であり、
自分の著書は絶対に読まないようテレビで訴えたことから、
ドラマが始まるらしい。

ストーリーを読んだときに面白そうだと思ったんだけど、
なにより主演がケヴィン・スペイシーということで、
さらに見てみたくなった。

昔のハリウッド映画の真骨頂は、
センスのいいセリフとテーマだと
僕は勝手に思っている。

この作品はそれが期待できる。


【鑑賞後】評価:☆☆

だいぶ昔に『インザプール』という小説が流行し、
何本か映画化されたのだが、
この小説に出てくる伊良部というイカれた精神科医を
映画を見ながら思い出していた。

伊良部の病院に来る患者たちは、
「外出するとコンロの日を消し忘れたという観念が頭に浮かび、
不安になって仕事も適当に済ませ家に帰ってしまう人物」や、
「勃起が収まらない男」など
深刻な悩みを抱え、悩みゆえに奇怪な行動に走ってしまう人々である。

しかし、伊良部という精神科医は普段の行動が患者たちよりも奇怪であり、
先生というよりも患者のような先生なのだ。

患者たちは伊良部の行動に驚かされるのだが、
「こんな奇怪な行動をする人物でも生きていけるんだ」と知っていくと
なんだか安心して、症状が和らいだりしていく。


ケビン・スペイシー演じるこの映画の精神科医は
酒、タバコ、麻薬におぼれることで
妻を自殺でなくしたという悲しい過去を
頭に浮かばないようにしている。

患者たちには医者らしい振る舞いをしているわけだが、
いざ一人になると薬物に浸ってしまうのだ。

ストーリーの展開上、この病んだ医師が、
どうやって依存症を克服していくのかというところが、
一番面白いところになるわけだが、
これがなんなのかよくわからなかった。

映像も役者の演技も素晴らしいので、
飽きずに最後まで見ることができたのだが、
見終わった後に頭の中で「?」が飛び回っていた。

なんであんなにすんなり依存症が治ってしまったんだろう?

まったくわからないのである。

『インザプール』は患者が治っていく様子がよくわかったのに…

素晴らしい作品というのは交通事故にでも遭うようなショックを
観客に与えるものだ。
まったく油断して歩道を歩いていたら車が突然突っ込んでくるような
驚きと衝撃。
「こういう出来事で主人公の考えが変わったんだね!納得!」って感じ。

しかし、この作品は車が「もうすぐで来るな」と期待させといて、
僕に近づく前に右折してしまった。

僕は仕方なく車が去っていく様子をぼんやり見つめるしかなかった。


拍手[1回]

盲獣vs一寸法師

盲獣vs一寸法師
Blind Beast vs. Dwarf
公開 2004年3月13日
監督 石井輝男
脚本 石井輝男
原作 江戸川乱歩
出演者 リリー・フランキー、塚本晋也



【鑑賞前】期待:☆☆

エロくて読み応えのある小説家といえば、
僕の中では江戸川乱歩と山田風太郎だ。

どちらもたくさんの作品が映画化されている。

でも、その映画化が本当に成功しているかというと、
ただ、エロさだけを強調するにとどまり、
重厚な筆力は蔑ろにされている。

監督が石井輝男ということで、
映像自体はあまり期待できないのだけれど、
最近、『かたわ少女』というエロゲーにはまっているという事もあり、
身体障害者のドロドロした作品に触れてみたいと思った。


【鑑賞後】評価:☆☆

『かたわ少女』
http://katawa-shoujo.com/index.php

このゲームはいわゆる18禁のビジュアルノベルというやつで、
ストーリーが進む中で選択肢を選んでいき、
最終的には登場人物の女の子とエッチをするのが目的という
巷にありふれたエロゲーの一つである。

しかし、この作品がほかのものと大きく異なるのは、
登場人物の女性が全員、「身体障害者」ということだ。

不謹慎な題名のとおり、腕のない子や足のない子、
目の見えない子や耳の聞こえない子が登場する。

「こんな不謹慎なものを作ってけしからん!」と
僕も最初は思ったのだが、「不謹慎」は好物なので
食べてみることにした。

そうしたらどんどんとゲームの世界にはまっていくではないか!

はじめは見た目に違和感のある少女たちも
ストーリーが進み、性格や悩みがわかるにつれ、
身体の欠陥が気にならなくなり、
だんだんかわいらしくなってくるのだ。

まんまと製作者の罠にはまってしまったわけだが、
少女たちの悩みや考えがよく練られていることと、
絵に細かいこだわりを感じることができるので結構楽しめる。

最初はどうやって陵辱していくのかとドキドキしていたが、
純愛なゲームだった。


一方、この映画は身体障害者のほうが健常者を陵辱する話である。

小人症の男と目の見えない男が、自分の欲望を満たすために、
女をさらったり、弱みにつけこんで脅したりする。
まさにエロゲーの王道のようなストーリーだ。

監督が撮りたいのものも明智小五郎の名推理ではなく、
犯人の欲望なんだろうが、
いかんせん、絵がしょぼすぎてガッカリだし、
セリフも不自然だらけだ。

低予算でなんとか作品に仕上げたのだろうが、
学生映画並みのレベルでとても商業用とは思えなかった。

しかし、監督はそんなことはわかっているんだろう。
お金がなくても映画を作りたかったに違いない。
映画に対する情熱を感じて、☆1つプラスした。

そういえば、Wikiを読んでいたら、
しばらく前に話題になったある出来事が載っていた。

民主党から出馬し、当選したある女性議員が、
議員になる前に生活のためにヌードを披露した映画が
この作品らしい。

見ていて出演していたことにまったく気づかなかったのだが、
この話題が出た当時は、たくさんレンタルされたに違いない。


まあ、そんなことはどうでもよくて『かたわ少女』である。

この作品は、驚くべきことにフリーソフトなのだ。
フリーとは思えないほどクオリティは高い。

もともとは一枚のイラストから、それを元にゲームにしようと、
主に外国人が中心になって、5年の歳月をかけて作ったのだという。

すごい情熱だ。

ぜひ皆さんにもこのゲームを楽しんで欲しいのだが、
残念ながらまだ英語版しかないようだ。

しかし、英語のできない僕でもある程度は理解できるから、
皆さんなら楽々と内容を理解できるに違いない。

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告白

告白
公開  2010年6月5日
監督 中島哲也
脚本 中島哲也
出演者 松たか子、岡田将生



【鑑賞前】期待:☆☆

あんなに借りたかった映画だけども、期待はこのくらいにしておこう。

だって『悪人』も期待したほどじゃなかったんだもん。

日本映画って本当に期待はずれが多いよねぇ。
なんで宣伝は派手なのに、実際の映像は貧乏くさくて、
話の内容は偽善にあふれてるんだろうか。

なんか「空気読まない」発言しちゃうとハブられるような雰囲気が
日本にはあって、たとえ作家でさえも、それを侵しちゃうと、
気まずい雰囲気になっちゃうような、
だから作家も空気読んじゃうような世の中な気がして仕方ないんだけど、
作家ならみんなと違う考えをドカンッと言ってやって、
「あーあ、言っちゃった」みたいな白い目で日本人全員から見られるような
覚悟がないと、なっちゃいけない職業のような気がする。

それくらいじゃないと、偽善ばかりの作品はなくならない。

だから、僕はこの作品に世の中の偽善をめった裂きにするような刺激を
期待しているのだ。

それくらい、やってくれるんでしょ?『告白』さん。


【鑑賞後】評価:☆☆☆

サイコホラーって感じの作品だった。

また日本の倫理観の乏しい現状を風刺したような
「社会派」ムービーにも見える。

しかし、どちらのジャンルにしろ中途半端で、
見たことあるような人物描写で、
それがいま一つ盛り上がらなかった原因のように思う。

この映画は最初の30分が面白い。
場面は教室だけなのだが、生意気な中学生が騒ぐ中、
真面目そうな先生が徐々に「危ないこと」を言い始める。
緊張感があってオチもしっかりしていた。
最初の30分間だけで短編作品として成立している。

その後の話があまり惹きつけられないのだ。

危ない先生をところどころで登場させて、
生徒たちを恐怖のどん底に陥れてくれれば、
立派なホラーとして成立していたように思う。

なんかなぁ、特に感想はない。

偽善に対してメスをいれるような姿勢はうかがえるんだけど、
あまり深くまで刺し込めなかったようだ。

「メスじゃなくて、バターナイフですよ、それ」

って言いたくなる作品。



拍手[0回]

ノルウェイの森

ノルウェイの森
Norwegian Wood
公開 2010年12月11日(日本)
監督 トラン・アン・ユン
脚本 トラン・アン・ユン
原作 村上春樹
出演者 松山ケンイチ、菊地凛子

 


【鑑賞前】期待:☆☆☆

僕は村上春樹が大っ嫌いだ!

でも、なんで嫌いなの?って聞かれると返答に困ってしまう。
たぶん、生理的に嫌いなだけだと思う。

まあ、会った事もない人を嫌いだなんていうのは、
僕の倫理観に反するのだけれども、
こういう風な作品を書く人のことが僕は嫌いなのだ。

なんつーか、甘ったるいケーキに砂糖をまぶしたような作品?

テレビドラマだと脚本家の野島伸二が近いキャラではないだろうか。

角砂糖にシロップをまぶしたような二人だ。

ただ『ノルウェイの森』は、いつだったかに読んだことがあって、
結構、長い小説なのに夢中になってどんどんと読んでしまった記憶がある。
妙に話しに吸い込まれるようなところがあって、
僕はすっかり飲み込まれてしまったのだが、
小説を読み終え、何年かたった今、
小説の内容はまったく頭に残っていない。

昔、熱に浮かされたようにハマッた女が、
本当にそれだけの価値がある女だったのか、
僕はいま確認してみたくなった。
(それなら、小説読めよ!)


【鑑賞後】評価:途中退席(開始22分)

甘すぎた。

甘かった要因はたくさんあるのだけれど、
まずはセリフだ。

セリフがあまりにも不自然すぎる。
脚本は外国の方が書いたんだろうが、
小説の言葉をそのまま使ったようなセリフだった。

小説とシナリオはそもそもまったく別のもので、
シナリオというのは「役者がしゃべる」ことを前提に作るものなのだから、
実際に読んでしゃべってみて不自然なものは、
それだけでシナリオとしての評価はガタ落ちなわけで、
だから脚本家は、声を出して自分の書いたセリフが不自然ではないか、
チェックしているものだ。

この作品は監督も脚本も同じ外人だから、異文化ということで、
不自然かどうかなんてわからなかったんだろう。


次に「1969年」という時代設定だ。

松山ケンイチが髪型七三で大学構内を歩いていると、
「ゲバゲバ」と言いながらヘルメットをかぶりタオルを巻いた、
頭のおかしな連中とすれ違う。

松山ケンイチの髪型も「ゲバゲバ」隊も小説には忠実なんだろう。
でも、見ていて気持ち悪いのだ。

僕はこの時代の人間がたぶん嫌いだ。
そして、「ゲバゲバ」隊の学生運動がなにより嫌いだ。

ヘルメットとタオルで「顔を隠して」、
機動隊に石を投げて、さも社会に一石投じてやったというような
満足感にでも浸っているのだろうが、
僕の目から見れば、頭でっかちの学生が、
元気すぎる体をもてあまして、暴れまわっただけだ。

しかも就職に影響がないよう顔を隠して。
ネットの匿名性を利用して他人の悪口を言ってるのと変わらない。
気持ち悪い。


最後に役者の演技が不自然すぎた。
これは一番最初に上げた「セリフ」と同じ、
監督と脚本が外人だったせいかもしれない。

異文化の映画を撮るというのは本当に難しいのだ。
言葉を理解するだけでは駄目だし、
長い時間、異文化の中で生活しないとわからないことがたくさんある。

そもそも、言葉を理解するということは、
他国の文化を理解していないとわからないことで、
「英単語2000」を全部覚えたからといってわかるものではないのだ。


まあ、いろいろ書いてはみたけれど、
映画を途中退席した決め手は、
菊地凛子が泣くシーンだ。

ショックなことを言われた菊地が泣き始めるのだが、
まるで喘息の発作が始まったような泣き方で、
泣いているのか喘息なのかわからないシーンが長回しだったりして、
イライラがMAXになってしまった。

泣くシーンさえ白々しい。

そして、不自然だ。

村上春樹が好きか嫌いかというより前に、
映画になじめなかった。

外国人が監督脚本だから、
この小説の重要なエッセンスだけ抜き取って、
甘みを抑えて作品を作ってくれるものだと期待していたが、
駄目だったようだ。


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