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【雑感】自分貝塚

モースが大森貝塚を発掘調査したのは1877年だ。

貝塚は古代人のゴミ捨て場だったわけだが、
僕の住んでいる部屋も貝塚の様相を呈し始めた。

不思議なことに押入れを開けるたびに貝塚が発見され、
分別せずに放り込まれているものだから、
開けてびっくり玉手箱だ。

僕はまさに自分貝塚の発掘をしているのだ。


モースが貝塚の発掘に取り掛かろうとしたのは、
古代人の生活がどんなだったか知る手がかりになると思ったからだろうが、
自分貝塚の発掘は、高々10年ほど前の自分の発掘であって、
残念ながらたいして今の自分と変わらないし、
2時間遊んで飽きたおもちゃやら、
捨てていいのかわからない書類を面倒だからとりあえず残しておいた、
といったような「怠惰」の歴史を知るに過ぎない。

「いらなかったんなら、その場で捨てろよ」と
古代人の自分に言ってやりたいくらいだ。


発掘作業をしていてたまにうれしいときがある。

見覚えのないエロ本が出てきた時だ。
「新鮮な気持ちで楽しめるじゃないか!」と
古代人の自分に伝えてあげたい気持ちになるのだが、
エロ本を見ている間は作業が当然、進まないわけで、
あとから振り返るととても無駄な時間をすごしたような気分になる。

一度など「知恵の輪」が出てきて、
「これは古代人の自分がクリアできなかったに違いない」と
熱心にカチャカチャいじっていたのだが、
そんなことをしてたら3時間も経過していた。

もちろん知恵の輪を外すことができなかったわけで、
ただ時間を浪費したに過ぎないのだが、
古代人の自分もおそらくクリアしておらず、
未来人の僕に託すため貝塚に入れたのだろう。

僕は解けない知恵の輪を不燃ごみの袋に入れることで、
古代人から託された想いを解決した。

まさにコロンブスの卵である。


でも、本当にうれしかったのは、
スーツを捨てようとしたときだ。

大学の入学式や就職活動で使ったスーツがまだ残っていて、
もう着ないだろうということで捨てようと思ったのだが、
一着のスーツのポケットに千円札が入っていた。

普段はあまりスーツを着ないので、
どういう状況でポケットの中に千円札が入ることになったのか、
過去の記憶をたどってみたのだが、
まったく思い当たる節がなかった。

しかも千円札は、野口ではなく漱石先生なのだ。

かなり昔にポケットにしまったのだろう。

千円札を見つけたあとは、
「もしかしたらほかの服にもお金が入っているかもしれない」と考えてしまって、
スーツだけではなく、シャツやらパンツやらを取り出して、
どこかにお金がひっついていないか探してみたが、なかった。

時間の浪費である。


まあ、なんだかんだで部屋のゴミは少なくなってきている。
飛ぶ鳥あとを濁さずということわざがあるが、
僕もきれいに飛び立ちたいものだ。


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