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【雑感】群馬は何もないらしい

引っ越しが完了して、2日の深夜に実家へ着いた。

上京している時もたまに里帰りしていたから、
新幹線に乗っていても、また東京へ戻るような感覚が強くて、
いまいち実感がわかなかった。

そして、いまもまだ実感がない。


田舎に帰る前に群馬の先輩のところへ行った。

行く前は、先輩は「過去も未来もない男」だと思っていたのだが、
(仕事と生活に疲れて、暗い日常を過ごしていると思っていたのだが)
会ってみると、学生時代と変わらない笑顔とハイテンションで迎えてくれた。

前橋駅まで車で迎えに来てもらったのだが、
最初に県庁に連れていかれて、最上階の展望フロアへ案内された。

男同士で群馬の夜景を見るなんて、なんとも気持ちが悪いのだが、
先輩はかまわず前橋市内の地理について説明してくれた。

「群馬ってほんとに何にもないんだよ。
 名産品もないし、有名な観光スポットもない。
 だから案内できるところはここ(県庁)くらいなんだよな」

群馬は温泉で有名だから、そんなことないでしょ、とフォローしておいた。


焼肉をおごってもらったあと、
今度はガールズバーに行こうという話しになって、
僕はそんな卑猥な場所に行った事ないから断ろうとしたのだが、
先輩が「群馬は何にもないからさ、
 案内できるのはそこ(ガールズバー)くらいなんだよな」
と言うので渋々ついて行った。

明るい店内のカウンターの向こうに水着のお姉ちゃんが何人もいた。

群馬の女性は標準語なので、東京にいるのとあまり変わらないのだが、
ところどころ「自家用車」の話が出てきて、
東京と違い車社会であることがわかった。

僕は女の子に「いい観光スポットないかな?」って聞いてみたのだが、
女の子はそのまま難しい顔で黙り込んでしまった。
そして時間が来たので帰ろうとした時、思い出したように言ったのだ。

「あ、県庁行った?」
「う、うん」
「あ、そう・・・」


翌日は、先輩のアパートの近くに温泉があるというので行ってきた。

農家の人が個人経営でやっているような温泉で、
600円で一日中入っていられるのだそうだ。

東京ではシャワーばかりの生活だったから湯船につかるのは久しぶりだ。

檜風呂はなんともいい匂いがして、
とても気持ちが良かった。

檜風呂を出ると今度は露天風呂につかった。
ここからは山に囲まれた前橋市内を一望できる。
少し霞がかかっていたせいで景色はぼやけていたけれども、
贅沢な時間を過ごせた満足感があった。

先輩は「群馬はなんにもないからさ、
 温泉につかるくらいしかないんだよなぁ」と、
気持ちよさそうに言った。


群馬に行くまでは、東京から離れるのが憂鬱だった。
自分で決断を下しておきながら、
やっぱり寂しかったし、田舎には何もないと思っていた。

でも先輩に案内してもらった群馬県で、
田舎の良さに気づかせてもらったようだ。
憂鬱な気分が徐々に晴れていくのを感じた。


なんにもない群馬で先輩は今日もあくせくと働いているのだろうな~

と、有給消化中の僕は東京より南の田舎で思ったのだ。

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