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【雑感】究極のラーメン

お昼に目が覚めて「今日は食事作るの面倒だな」と思ったので、
ネットで検索して、近所で評判の料理店を探してみた。

そうすると、「火曜日しかやっていないラーメン屋」というのがあって、
オープン前には10人も並んでいると紹介されていた。

何気なくカレンダーを見ると、まさに今日が火曜日じゃないか!
このラーメン屋と僕は出会う運命に違いない。
そう思ってあわてて食べに行ったのだ。


地図で場所を確認したのだが、
お店が小さすぎてすぐに見つけることができなかった。
でも、なんとかたどり着いた。


中に入ると10席ほどのカウンターがあるだけのお店だ。
僕が入ったときは1席しか空いてなかった。
まさに僕のために用意されていたような気分だった。

僕は事前に調べたお勧めの味噌ラーメンを注文し、
すでにラーメンを食べている人たちの様子や、
調理をしている料理人のしぐさを観察しながら、
ラーメンを待った。

お店の主人らしき男性は常にせわしなく動き、
補助らしき女性(奥さん?)もお会計と食器の片づけを
無駄な動きなくこなしている。

僕より先に入った人たちにラーメンが運ばれる様子を眺めながら、
「次は自分に違いない。あの人の次に僕の所へラーメンがやってくる!」と
期待しながら待っていた。

そして、やってきた。

赤色の器に盛られたラーメンは、
揚げられたレンコンが表面にちりばめられ、
チャーシューは1センチほどの厚さがあり、
表面は軽く焼かれている。

まず汁をレンゲですくい、味わったのだが、
赤味噌の香りが口に広がり食欲を増進させた。

麺は平たい形状をしていて、
ぱっと見は細いうどんのようだ。
口に運ぶと汁をしっかりと付着させ、
ねっとりと味噌の味が口内に広がった。

「おいしい!」

僕は金鉱でも掘り当てたような気分でラーメンを堪能したのだが、
半分くらい食べたところで気持ち悪くなってきた。

口の周りは油で粘つき、
レンコン、ニンジン、ゴボウの薄切り揚げ物も
脂っこさを助長しているだけのような気がして、
邪魔な存在に思えてきた。

僕は無理をして最後まで食べたのだけど、
一口目のおいしさが嘘のようで、
出だしだけが面白い映画を見たような気分だった。

「ここまで食べれば店員さんも怒らないだろう」というところまだ汁を飲んで、
店を後にした。


僕自身はラーメンマニアではないし、
グルメでもないから料理の良し悪しを判断する能力はないが、
油だらけの昨今のラーメンは頂けない。

ここのラーメン屋だけではなく、
ほとんどのラーメン屋が僕にとって脂っこいのだ。

僕が映画にはまっても、ラーメンにはまらない理由はここにある。


そんなわけだが、僕が東京で唯一好きなラーメン屋さんが近所にある。

そのラーメン屋さんは、
カウンターが4席ほどしかなく、
店主に愛想はないけど、ラーメンへの真摯な態度を感じることができ、
店の前を通ると、高級料亭のようなカツオとニボシの出汁の上品な匂いがして
僕はその匂いをかいだだけで店の中に吸い込まれてしまうのだ。

メニューは醤油と塩の2種類だけ。

僕は醤油が好きだからいつも同じものを注文するのだけど、
透明な汁に細めんが沈んでいて、
ねぎもチャーシューもお行儀よく、器の中に鎮座している。

ひとかけらの黄色い柚子が器の中に浮かんでいるのだが、
色が映えるだけではなく、さっぱりとした風味も広がっていく。

味玉は黄身まで味がしみこんでいて、
ほのかなしょっぱさが麺を食べ終わった僕の舌を喜ばせてくれるのだ、


食事を終えて家に帰った後も僕は恍惚として、
ラーメンの味を思い出そうとしている。
まるで恋人とキスをした瞬間を思い出そうとするように。

もう一度、あの味を実感したくて、
お店に何度も通うのだが、家に帰るとやっぱり、
あの爽やかな風味が幻のように実感なく漂うだけなのだ。

あの味を捕らえたいのに僕の脳みそは、
味わっているときの感動をそのままコピーすることができない。

僕は恋わずらいにおかされた若旦那のように
ラーメンの幻影を追い求めるのだ。

永遠に。


まあ、こんな記事を書きながらも僕はおならが止まらなくて困っている。

きっと今日食べたラーメンに入っていたゴボウとレンコンの揚げ物が、
腸を刺激しているのだろう。

店員さんを怒らせないよう我慢して食べてあげたのに、
まだ僕を困らせるのか。

罪深いラーメンである。

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