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ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ

ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ
2010年3月6日公開(日本)
監督 松山博昭
脚本 黒岩勉、岡田道尚
出演者 戸田恵梨香、松田翔太


 
評価;☆☆☆☆

本当によくできた映画だ。

テレビドラマから映画になったものなんて、
ろくでもないものが多いと思っていたけど、
この作品はとても良いと思った。

「正直者は本当に救われるのか?」

道徳を考える上でとても大切な問題である。
もし「正直者は損をする」だけなら、
地球上の誰も正直者なんかになろうとしない。

今の資本主義が蔓延する世の中で、
「損」をしようなんて考える人は誰もいないのだ。
口八丁で「益」を取る人間が普通だと、
薄っすらみんな思っているはずだ。
「あいつ、うまくやりやがって」と考えるとき
「うまく」は「狡猾」という意味で使われることが多い。

そんな資本主義に毒された連中が薄っすら思っている事を、
否定しようと試みた作品がこれだ。

女主人公はだまされることを恐れないほど、
馬鹿正直なのだが、
「正直」であることは、「すぐ騙される」という理由で
他人から馬鹿にされることが多い。
見下されることが多いのだけど、反面、信用はされるのだ。

人はなかなか自分の本心を見せないものだが、
馬鹿正直は本心がスケスケで、
スケスケで裏がないことがわかるから人から信用される。

一方、頭の回転が速くて、猜疑心の強い者は、
心の中がよくわからない(見えない、見せない)から、
人から信用されるのは難しい。
これは男主人公に当てはまる。

どちらか一方ではこのゲームに勝つことはできない。

男主人公は人から信用してもらえない、
という点で、いつも孤独である。
しかし、女主人公のように誰でも信じてしまう者だけは、
この孤独者を信じることができるのだ。
信用してもらえることで、
孤独者は相手を信用する。
そして孤独から解放される。

正直なもの同士が惹かれあうなら、
ピュアな映画になっていたのだろうが、
正反対の二人を主人公にすることでこの映画は、
「正直は損だけではない」ということを
訴えたかったのではないだろうか。。
また他人を信頼することの大切さを訴えることもできたのだと思う。

それにしても、よくできた脚本で、
映画を見ている観客がストーリーの途中で疑問に思いそうなことを、
しっかりと答えていっている。
それも自然な流れの中で。
こんなに論理的な脚本を書ける人が日本にもいるんだね。

馬鹿正直と頭のいい人間が出会うということは、
現実世界ではほとんどないし、
「正直さ」も「ずる賢さ」もここまで極めた人はいない。
中途半端な「正直さ」と「ずる賢さ」でみんな生きている。

蛇足だけど、
松田優作って偉大だなとあらためて思った。
松田龍平と翔太という独特の空気感を持った俳優を生んだのだから。
もちろん、生んだのは奥さんだけどね。

 


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