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精神科医ヘンリー・カーターの憂欝

精神科医ヘンリー・カーターの憂欝
Shrink
公開 劇場未公開
監督 ジョナス・ペイト
原案 ヘンリー・リアドン 
脚本 トーマス・モフェット
出演 ケヴィン・スペイシー、 マーク・ウェバー



【鑑賞前】期待:☆☆☆☆

テレビにも出るような有名な精神科医が、
奥さんが自殺してから、依存症になり、
それを治せないでいる。

だから自分は精神科医として失格であり、
自分の著書は絶対に読まないようテレビで訴えたことから、
ドラマが始まるらしい。

ストーリーを読んだときに面白そうだと思ったんだけど、
なにより主演がケヴィン・スペイシーということで、
さらに見てみたくなった。

昔のハリウッド映画の真骨頂は、
センスのいいセリフとテーマだと
僕は勝手に思っている。

この作品はそれが期待できる。


【鑑賞後】評価:☆☆

だいぶ昔に『インザプール』という小説が流行し、
何本か映画化されたのだが、
この小説に出てくる伊良部というイカれた精神科医を
映画を見ながら思い出していた。

伊良部の病院に来る患者たちは、
「外出するとコンロの日を消し忘れたという観念が頭に浮かび、
不安になって仕事も適当に済ませ家に帰ってしまう人物」や、
「勃起が収まらない男」など
深刻な悩みを抱え、悩みゆえに奇怪な行動に走ってしまう人々である。

しかし、伊良部という精神科医は普段の行動が患者たちよりも奇怪であり、
先生というよりも患者のような先生なのだ。

患者たちは伊良部の行動に驚かされるのだが、
「こんな奇怪な行動をする人物でも生きていけるんだ」と知っていくと
なんだか安心して、症状が和らいだりしていく。


ケビン・スペイシー演じるこの映画の精神科医は
酒、タバコ、麻薬におぼれることで
妻を自殺でなくしたという悲しい過去を
頭に浮かばないようにしている。

患者たちには医者らしい振る舞いをしているわけだが、
いざ一人になると薬物に浸ってしまうのだ。

ストーリーの展開上、この病んだ医師が、
どうやって依存症を克服していくのかというところが、
一番面白いところになるわけだが、
これがなんなのかよくわからなかった。

映像も役者の演技も素晴らしいので、
飽きずに最後まで見ることができたのだが、
見終わった後に頭の中で「?」が飛び回っていた。

なんであんなにすんなり依存症が治ってしまったんだろう?

まったくわからないのである。

『インザプール』は患者が治っていく様子がよくわかったのに…

素晴らしい作品というのは交通事故にでも遭うようなショックを
観客に与えるものだ。
まったく油断して歩道を歩いていたら車が突然突っ込んでくるような
驚きと衝撃。
「こういう出来事で主人公の考えが変わったんだね!納得!」って感じ。

しかし、この作品は車が「もうすぐで来るな」と期待させといて、
僕に近づく前に右折してしまった。

僕は仕方なく車が去っていく様子をぼんやり見つめるしかなかった。


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