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サイコ リバース

サイコ リバース
Peacock
公開 未公開(日本)
監督 マイケル・ランダー
脚本 ライアン・ロイ
出演 キリアン・マーフィ、エレン・ペイジ、スーザン・サランドン


【鑑賞前】期待:★★

無性にサイコスリラーを借りたくなってこの映画を選んだ。

面白いかどうかわからないのだけれど、
日本で未公開ということを知って、期待できないなと思った。

そういえば「サイコ」という言葉の意味を知りたくてWikiってみた。

なんでも「精神異常」「多重人格」という意味で使われることが多いとのことだが、
ヒッチコック監督の「サイコ」が世界中で見られて、
こういう意味が全世界で通じるようになったそうだ。

さすが、ヒッチコック先生。

ちなみに原題の『Peacock』は「クジャク」という意味で
とくに雄の、羽が大きくきれいなクジャクのことを指すようだ。

男性のナルシストが主人公ということなのだろうか。

それにしても「原題詐欺」である。



【鑑賞後】評価:


孤独はもう一人の人格を作り出す。

という感じで感想を書こうと思っていたのだが、
どうやらそういうお話ではないようだった。
「ようだった」というのは、つまりこの映画で描きたいことが、
「よくわからなかった」ということだ。

難解な映画というよりも、何を描こうとするのか、
制作側がうまく掴むことができなかったように思う。


オープニングはとても面白かった。

女性が洗濯物を干すシーンから始まるのだけど、
まだ起きてこない夫のために朝から家事をこなしている。
なかなか別嬪さんでオドレイ・トトゥにどこか似ている。

女性は、朝食の支度が終わると、ベッドルームに行って、
鏡の前に座ると、おもむろにかつらを取る。
すると別嬪さんは、実は男性だったということがわかるのだ。

つまり主人公の男が女装をして家事をこなしていたのだ。

主人公は化粧を落とすと、自分で作ったはずなのに、
朝食は誰かが作ってくれたような素振りで食べ始め、
妻(自分)が残したメモを見ながらにやけたりしている。

「自作自演かよ!」とツッコミたくなるようなオープニングなんだけど、
なんか面白そうで、「期待できるな」と思った。

舞台は田舎街なのだが、住人は主人公が独身だと思ってる。
でも列車事故が起こったときに主人公は女装していて、
事故に巻き込まれそうになった。

主人公が気を失って倒れているところを、
街の住人が見つけて心配するのだが、
女装した主人公が自分の家に逃げていってしまったものだから、
独身だと思っていた男に実は奥さんがいたんだと、
街の人たちから勘違いされる。

それから住人は「奥さん、いたのかよ」って感じで主人公に接し始めるので、
主人公はいろいろ誤魔化さなくてはいけなくなるのだ。

僕は主人公の「自作自演」が街の住人にばれてしまって、
なんとか自分の変態趣味がばれないよう
誤魔化そうとする主人公を見たかったのだけど、
制作側はもっと難しい話を書きたかったようなのだ。


主人公の母親は一年前に亡くなっているのだけど、
この母親はどうやら主人公に虐待をしていたらしいのだ。
それが災いして、主人公に「女性の人格」が生まれてしまった。
ここが話のテーマらしい。

でも母親がどういう事を主人公にやってきたのか、
具体的に描写されていなかったこともあり、
この後のストーリーはよくわからない。
方向性がつかめなかった。

「多重人格」よりも「女装趣味」の話として作ったほうが、
面白くなったんじゃないだろうかと思う。

映画を見たり、小説を読んだりしている時よくあるのだが、
主人公が「なにをしたいのか」わからなくなると、話がとたんに詰まらなくなる。
この映画が途中で詰まらなくなった原因はここにある。
主人公の意思(やりたいこと)は観客にわかりやすく提示しなければならない。

これはドラマの鉄則だ。


それにしてもオープニングはとても期待させてくれた。

僕も一人暮らしが長いが、家事はちゃんと自分でやっている。
でも、この家事というものはとても詰まらない上に面倒で、
それでいて毎日やらないとゴミばかりが溜まってしまうのだ。

こんな詰まらない家事をなんとかこなすために必要なことはなにか?

僕はこの映画を見てわかった。

ずばり「女装」だ。

僕は、存在しない(まだ見ぬ)奥さんのフリをして、
「あなた(自分)のために頑張る!」と思いながら、
自分のために料理や洗濯をするのだ。

にんじんの切り方にこだわるのも、
洗い終わったばかりの洗濯物を叩いて皺を伸ばすのも
「あなたのため!」と思って。

この一人遊びで一番大切なことは「正気」に戻らないようにすることだ。

「あほくさっ」と思ってしまった時点で、
にんじんはどの料理も短冊切りになってしまうし、
洗濯物の皺だって「まあ、自分が着るんだしいいや」となってしまう。

できる限り本気で没入するためにはやっぱり「女装」が必要なのだ。
化粧をしたり、スカートをはいたりすれば、
自然と心も女性になるに違いない。

というわけで、家事が嫌で嫌で仕方ない人は、
ぜひこの方法を試していただければと思う。

 

もちろん僕はやらないけど。
 


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